秋も卒業のシーズンでしょうか・・・
夏の終わりに数名卒業されました。
そして今、カウンセリングを担当させていただいている方々から嬉しい報告をいくつもいただいています。
それは今までとは違う家族との関わり方であり、そこには血が通う暖かさがあります。
「それはどんな感じなんですか?」と、どの方に伺っても、皆さん一様に、
「心がほんわか温かいんです」「なんだかホッとします」
と、ご自分の胸の中では、春風が吹くような感覚を感じているようです。
私はそれは、皆さんの心の中に在る愛じゃないかと思います。
自分の中に在る愛が、共鳴して喜んでいる、そんな風にも思います。
夫が、子供が、両親が、「こんなことを言ってくれるなんて!」と、
それぞれに問題と感じていた人との心温まる交流が展開したとき、
それまで大嫌いだと思っていた心の氷も溶け出すようです。そして気がつくようですね。
嫌いだったのではなくて、受け入れてもらえなかったことが悲しかったんだと。
何度も何度も期待をしては裏切られ、その気持が痛くて、
嫌いなことにしてしまえばもう考えなくて済むとか、
相手が悪いことにしておけば、自分の痛みに向き合わないで済むとか、
とにかく心というものは何かと理由をつけては、回避という手立てを講じるようです。
またそこには恐怖感の存在も大きな役割を果たしているようです。
この秋、卒業されていったクライエントさんを少しご紹介させて下さい。
彼女は、自分は家族を愛せないのではないかと、そんな自分を怖がっていらっしゃいました。
そしてそれは、相手が悪いからだと思っておられました。
それも当然のことで、彼女は本当にそれまで色んな努力も学びもしてこられていました。
そしてできることは色々と行動に移してこられていましたから、ここまでやったのに、という思いが強くなるのは誰しもが思うことです。
そして同時にご自分をも責めておられました。
それは、家族との関係性がうまく回らないのは、
自分が回避してきたことに問題があるのではないかと思っておられました。
その苦しさからか、何度も家族を切り離したい思いを訴えられていました。
ですが、様々な観点から問題を一緒に見つめ、考え、悩んでいくうちに、
あるとき彼女は素晴らしいことに気がついたのです。
「私はずっと、私に家族が迷惑をかけていると思っていたけれど。
そして、そんな家族をなんとかしなくちゃと思って、コントロールしようとしていたけれど。
それは、世間から家族を守りたかった 私の気持ちだったんだ」と。
世間から後ろ指を指されないようにと子供たちをきつく叱ったり、
愚痴を言う夫に、そんなんじゃみんなからつまはじきにあうよと言ったり思ったり。
それは自分のルールで考えていたけれど、その根底にある気持は、
守りたいという気持で、それは言い換えれば私の愛情だったんだ。という発見がなされました。
いやーー、もう、感動しました。感激。
心が震えました。
嫌い、イヤと思っていた気持は、自分の期待通りに進まなかったことに対する思いであったのだということ。
そして嫌いだと思いつつ、そのことを考え、そのことに悩み、
いつも心から離れなかったのは、そこに自分の本当の愛情が隠れていたからだったのだと。
そんなことに気がつかれたようでした。
自分の中の愛情に気がついた彼女は、それからの行動が変わりました。
なんとかしようではなく、相手の気持ちにより添う言葉や行動が、自然と出てくるようになりましたし、考え方もそのように変化しました。
そうすると、家族の中に笑顔が増えていったようです。
家族間に漂っていた険悪な雰囲気が、柔らかく変わっていきました。
卒業にあたり、彼女からの言葉です。
「過去にあったことを未来において、笑いながら話せるんだろうなとイメージが変わりました。これからも何かあるかもしれないけれど、なんとかできる気がしますし、なんとかやっていくんだろうなって思います」
と、自分に自信も得ました。
ここへ至るまで、本当にのたうち回るような苦しみに何度も足を入れ、
なまじっかなつらさではなかっただろうと思います。
それでも進む勇気を彼女は持っていました。
諦めなかったことが、今日の彼女を作ったのですね。
それは言い換えれば、自分を諦めなかったということでしょうし、自分自身への愛だったとも言えると思います。
しょうか?
とゆずはさんに聞かれて、自分は何重もの蓋で
「私は辛い」と感じたことを閉じ込めて、
絶対に「辛いと認めてはいけない」としているのがわかった事。
ものすごく抵抗があった事に気付いた時。
そしてそれは今もしょっちゅう出てくる癖であると気付きつづけています。
○日常でも使えるワーク
(深呼吸の仕方や、気持ちを預けておく箱等)
○安心感
「辛い」と感じてはいけないと、ご自分に禁止令を出していたと気づいていただけたことは、とても良かったと思います。その中にたくさんの彼女の宝物が詰まっていたようですね。
最後になりましたが、ここに掲載する許可を与えて下さった彼女に、
心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。
この先の彼女の人生が、力強くしなやかでありますように祈っています。
ご一緒させていただいてありがとうございました。