夫の不倫が発覚。
突然の嵐に見舞われ、それを知ってしまったあなたには、
想像をしていなかったような事が起こっているのではないかと思います。
まず、眠りたいと思っても、いつも意識が覚醒している感じで、
横になってもついつい夫の不倫の事ばかり考えてしまう。
食欲はわかず、何を食べても砂を噛んでいるような感じしかしない。
出かける気にもなれず、家の中でとじこもりがち。
友人や人に会うのが億劫になる。
こんな気分に襲われてしまって、いったい自分はどうしてしまったんだろう?
どこか精神が病んでいて、もう以前のように健康的に人生を楽しむことなんて2度とないのではないかと不安になったりしているかもしれませんね。
ですが、それらはとても正常な反応なのです。
予期しなかった夫の不倫という事実に遭遇し、大きな衝撃を感じたであろうあなたの心と身体が、あなたが壊れてしまわないように、そして2度と傷つかないようにと起こしている反応なのです。
それらがどういうものであるのか知ることにより、自分を責める必要はないのだとわかると、気持ちはいくらかでも落ち着き、楽になれるのではないかと思います。
それでは、私たちの心の中ではいったいどんな事が起こっているのでしょうか?
それを見ていきましょう。
トラウマという言葉を、聞いたことがあると思います。
語源由来辞典では、個人にとって心理的に大きな打撃を与え、その影響が長く残るような体験。精神的外傷。外傷体験。とあります。
とても簡単に言ってしまうと、Trauma=心の傷です。
生命や身体に脅威を及ぼすような衝撃的な出来事を体験する事により、危険が去った後も長く不安に襲われたり、その記憶に苦しみ続けることを言います。
〈トラウマによってもたらされる症状〉
不眠、食欲不振、動悸、身体の痛み、手足の震えなどの身体面での変化がみられます。
心の中では、気持ちが常に大きく揺れ、ちょっとしたことで悲しくなる。
常にイライラに見舞われる。何もする気が起きない。
強い自己否定感に襲われる。怒りを感じる。孤立感を感じる。など。
そんな症状から、人間関係がうまくいかなくなったり、人が怖いと感じたりします。
また引きこもりになったり、仕事が出来ない。アルコールや薬に頼る。
ということが起きたりします。
うまく社会に適応できなくなったりする状況に、さらに落ち込み、
引きこもってしまい、イライラする…というような悪循環に陥ってしまう。
また、夫の不倫の事実や傷つけられるような言葉を、
思い出したくないのに繰り返し思い出してしまったり、夢にみたりする。
すでに過去になっているとわかっていても、
まるで今起きていることのような感覚に襲われ、
不安感や焦燥感に襲われて、日常のことができなくなる。
大きな喪失感に襲われ、周りの人間も社会のルールも信じられなくなる。
自分だけが、まったく違う世界に居るような気がする乖離感に襲われる。
不倫を想起させるような状況を避けようとするために、行動範囲が狭くなり、出来ないことが多くなる。
常に緊張して過敏になり、何事にも集中できない。
本当は辛いのに、感情が麻痺して表に出てこない為、周囲からは大丈夫だと思われる。
などが挙げられます。
そしてそれらの反応が1ヶ月以上続き、一定の基準を満たすとPTSDと診断されます。
PTSDは、我が国では阪神大震災以降、より深く研究されるようになりました。
ですから、PTSDに関しては、地震や大きな事故、命に直接関わるような出来事に遭遇した場合と限定するカウンセラーも居るようです。
が、経験した人の心の中で起きている症状に注目し、CAPSによる診断をすれば明らかになると思います。
以上にあげたように、一口に不倫の傷といっても様々な症状が起こり、
打撃を受けたあなたは見舞われるのです。
そして、それらの詳細はあまり世間的には知られていません。
そのことにより、周りからは
「いつまでも過ぎたことにこだわって…」とか、「しつこすぎる」などと言われたりして、
さらに傷つくことがあったりもします。
それは決してあなたが望んで起こそうとしている反応ではないのに、
そのように言われてしまう辛さは、並大抵のものではないでしょう。
そのことによって、今まで仲良くつきあってきた友人関係を解消せざるをえなくなったり、親戚や親子関係にまでヒビが入ったりということもありえるのです。
そして、それらの症状がもたらす一番の弊害は、
壊れかけた夫婦関係に、より大きな打撃を与えかねないということです。
トラウマによる症状は、感じている本人にとってはとても辛いものです。
ですが、それらが内面で起こっているため、周りからは見えず理解されません。
何より本人が、どうしてそうなってしまうのかが解らず、自分を責めてしまい、問題をさらに大きなものにしてしまったりもします。
そして、自分を責めきれなくなると、その傷をもたらした直接の原因と思われる夫を責めてしまいます。
責められた夫側は、また傷つけるような言葉を浴びせ…という悪循環が繰り返されたりもするのです。
その悪循環を断ちきるためにも、自分の心の中で起きている感情に注目して、正しい知識で見つめて欲しいと思います。