辛さの理由

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パートナーの不倫が発覚すると、様々な辛さが襲ってきます。

それは経験するまでに想像したものとは全く異質のものであり、経験した者にしかわからない苦しみがそこにあると思います。

未経験者の感覚では、その苦しさは、ちょうど失恋したようなものなのだろうか?と想像しますが、傷ついた心に吹き荒れる嵐は、そんな生やさしいものではないと言わねばならないと思います。

というのは、独身時代の失恋では、自分のアイデンティティは失われません。
生活も別であり、自分の安全圏は恋愛相手とは別の所にあるからです。

ところが結婚して生計も一つになると、自分の安全圏はパートナーが半分握っている状態でもあるのですから、根底から揺らいでしまいます。

実質的な衣食住から、心の住までも失ってしまう状態になるのです。

結婚するときに誓った「死が二人を分かつまで、病めるときも健やかなるときも…」と信じていた言葉は、簡単に翻され、築いてきた人生までもが砂上の楼閣のように感じられます。

自分を責める罪悪感、自分には価値が無いと思ってしまう自己否定感、無価値感。

今目の前で笑っている人でさえ、心の中では何を考えているのかわからないという、人に対する不信感。

他人からあざ笑われているような不安感や恐怖感。
他人から見捨てられたような孤独感や寂寥感。それに伴う乖離感。

自分だけが違う世界に迷い込んだような浮遊感。

何が真実で何が嘘なのか、本当のものが何なのか、社会的規範や道徳、自分の基準すら信じられなくなります。

そういった不安定な感覚が次々に襲ってくる恐怖感が、トラウマになります。

心は満身創痍で、シビアで繊細になっていますから、些細な言葉に傷ついたり心に沁みたり感動を覚えたりと、感情が乱高下します。
そのあまりの振り幅の大きさに、驚き、疲れ切ってしまうこともあるでしょう。

ある人はその嵐に対処することが出来ず、死んだように立ち止まってしまい、家事も仕事も出来ず寝込んでしまうこともあります。
またある人は、その嵐に翻弄され、狂人のように泣いたり笑ったり喚いたりと、嵐の赴くままに表現することもあります。

いずれにしろ、自分という人間のアイデンティティが壊れる、又は失われる状態であると言えると思います。

前回に書かせていただいた「不倫の傷」と共に、パートナーの不倫によって自分の心に何が起きているのかをしっかりと把握して欲しいと思います。

それによって、意味もわからず翻弄されているところから、少しでも心を落ち着けることができ、次の対策も考えられるのではないかと思います。

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